【2026年10月2週】賃上げの実感がないのは気のせいじゃない|今週のお金ニュース3選

家計管理・節約

📋 この記事の結論
・賃上げの実感がないのは、気のせいではありません
・1人あたりは実質プラス、でも世帯の実収入は実質マイナス
・食料品の減税は動き出しましたが、実施は2027年4月です

「実質賃金8か月連続プラス」。今週そんな見出しが並びました。でも、うちはそんな感じがしない。そう思った方は多いと思います。

気のせいではありません。同じ週に公表された別の統計を並べると、理由がはっきりします。順に見ていきます。

① 同じ8月なのに、賃金はプラスで収入はマイナス

10月7日、厚生労働省が8月の毎月勤労統計を公表しました。実質賃金は前年同月比プラス1.5%で、8か月連続のプラス。名目の現金給与総額は31万1,364円でプラス3.8%。3%以上の伸びは7か月連続で、1992年3月以来34年5か月ぶりの水準です。

その2日後、総務省が8月の家計調査を公表しました。同じ8月の数字です。

何の数字か結果出どころ
働く人1人あたりの実質賃金+1.5%厚生労働省 毎月勤労統計
勤労者世帯の実収入(実質)−0.9%総務省 家計調査
二人以上世帯の消費支出(実質)−3.1%総務省 家計調査
同(名目)−1.0%総務省 家計調査
2026年8月の賃金と家計(前年同月比)
花ちゃん
花ちゃん

賃金はプラスなのに、収入はマイナスなんですか?

くらアセ管理人
くらアセ管理人

見ているものが違うんだ。毎月勤労統計は働く人1人あたりの賃金。家計調査は世帯ぜんぶの収入。世帯には働いていない人もいるし、ボーナスや他の収入も入る。だから1人あたりが増えても、世帯で見るとマイナスになることがある。

そしてもうひとつ。消費支出は名目でもマイナス1.0%です。物価が上がっているのに支払った金額そのものが減っている。つまり実際に買う量を減らしています。

消費支出は5月マイナス0.4%、6月マイナス3.3%、7月マイナス3.6%、8月マイナス3.1%と、4か月続けてマイナスです。

出典:厚生労働省「毎月勤労統計調査 令和8年8月分結果速報」/総務省統計局「家計調査報告 2026年8月分」

② 食料品の消費税を下げる法案が閣議決定されました

家計がいちばん削りにくいのが食費です。その食料品の税を下げる法案が、10月9日に閣議決定されました。首相官邸が公表している同日の定例閣議案件に、こう記載されています。

租税及び社会保険料による負担の軽減のための飲食料品に係る消費税率の臨時的な引下げ及び就業者負担軽減支援金の支給に関する法律案(決定)

長い名前ですが、中身は2本立てです。飲食料品の消費税率を臨時的に下げることと、就業者負担軽減支援金という給付。法案名に「臨時的」とあるとおり、恒久的な引き下げではありません。

報道によれば、2027年4月から2年間、食料品の税率を8%から1%へ引き下げる内容で、今国会(会期は12月12日まで)での成立を目指すとされています。税率と期間は法案が公表されたら改めて確認します。

花ちゃん
花ちゃん

来年の4月から安くなるんですか?

くらアセ管理人
くらアセ管理人

いや、2027年4月。1年半先だ。しかもまだ閣議決定の段階で、国会を通っていない。財源も決まっていなくて、11月に政府が「秋のレビュー」で既存の基金や補助金を点検することになっている。

つまりいますぐ家計が楽になる話ではありません。決まったとしても1年半先です。それまでの食費は、いまの税率のままです。

むしろ目先は負担が増えます。電気・ガス料金の値引きは今月の検針分で終わり、11月検針分からは電気3.5円/kWh、都市ガス14.0円/㎥の値引きが請求から消えます。ガソリンなどへの補助は10月1日以降も1リットルあたり50.7円(9月は51.0円)が続いていますが、電気とガスには後続がありません。

→ 先週の記事:電気・ガス代、11月から上がります

出典:首相官邸「令和8年10月9日(金)定例閣議案件」

③ アメリカは年内にもう一度利上げするかもしれません

目を海外に移します。10月7日、FRB(米連邦準備制度理事会)が9月会合(9月15〜16日)の議事要旨を公表しました。この会合では政策金利を0.25%引き上げ、3.75〜4.00%としています。採決は全会一致でした。

注目はここです。議事要旨には「多くの参加者が、年内にもう一度の利上げが適切になる可能性が高いと判断した」と記されています。次回の会合は10月27〜28日、その次は12月8〜9日です。

なぜ利上げが要るのか。議事要旨が挙げている理由が、日本の家計にも関係します。原油高とAI投資です。

地政学的な動きが原油と石油製品の価格を押し上げており、急拡大するAI関連投資とあわせて、インフレ圧力に寄与している(9月FOMC議事要旨より要約)

さらに、「企業がコスト増を消費者に転嫁することに、以前より成功しているようだ」と指摘した参加者もいました。値上げが通るようになっている、ということです。

花ちゃん
花ちゃん

アメリカの金利が、どうして日本の家計に関係するんですか?

くらアセ管理人
くらアセ管理人

円安だよ。アメリカの金利が高いままだと日米の金利差が開いたままになって、円が売られやすい。円安が続けば輸入するものの値段は下がらない。①で見た「買う量を減らしている」状態が長引く、ということなんだ。

NISAでS&P500や全世界株を積み立てている方にも関係します。金利が高いままだと、利益の伸びを先に織り込んだ株ほど値動きが荒くなります。一方で円安は円建ての評価額を押し上げます。株価と為替の両方が効くことは頭に置いておいてください。

出典:FRB「Minutes of the Federal Open Market Committee, September 15-16, 2026」(2026年10月7日公表)

→ 関連記事:円安・利上げ・物価高の関係は?家計と投資への影響をわかりやすく解説

まとめ

  • 賃上げの実感がないのは気のせいではない。1人あたりの実質賃金は+1.5%だが、世帯の実収入は実質−0.9%
  • 消費支出は実質−3.1%、名目でも−1.0%。4か月続けてマイナスで、買う量そのものを減らしている
  • 食料品の消費税を下げる法案が10月9日に閣議決定。ただし実施は2027年4月の予定で、まだ国会も通っていない
  • FRBの9月議事要旨で多くの参加者が年内の追加利上げを適切と判断。理由は原油高とAI投資。次回会合は10月27〜28日
  • 電気・ガスの値引きは今月の検針分で終了。11月検針分から請求が上がる

統計の見出しと自分の財布が合わないときは、たいてい見出しのほうが粗いだけです。見るべきは世帯の手取りと、11月の検針票。当面はそこだけで十分です。

→ 関連記事:2026年後半、物価は上がるのか?指数から考察

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