📋 この記事の結論
・11月から上がるのは、月400kWhで約1,850円です
・値上がりのほとんどは、政府の補助が終わるぶん
・電力会社を変えても、この分からは逃げられません

11月の検針から、電気代が上がります。月400kWh使う家庭でおよそ1,850円。冬は使う量も増えるので、体感はもっと大きいはずです。
ニュースでは「政府の補助が終わるから」と説明されています。これは正しいのですが、検針票を見ると数字が合わないように見えます。そこに少し説明が要ります。
そこを知らないまま電力会社を変えても、たぶん期待したほどは下がりません。順番に見ていきましょう。
検針票の「燃料費調整額」が動いています
検針票を出してみてください。基本料金、電力量料金、再エネ賦課金……そのあたりに紛れて「燃料費調整額」という行があるはずです。
これは、火力発電に使う燃料が高くなったぶんを、毎月の電気代に足し引きする仕組みです。高ければ足される。安ければ引かれる。いまは引かれている側なのですが、その引かれる額が急に小さくなっています。
東京電力の公表値では、10月分が1kWhあたり▲9.30円、11月分が▲5.33円。差は3.97円です。月400kWhなら1,588円。これが11月からの値上がり分になります。

そんな行、見たこともありませんでした。

たいていの人はそうだよ。ただ、この3.97円のほとんどは燃料の値上がりじゃない。からくりがあるんだ。
からくりはこれです。東京電力は11月分の案内に、こう注記しています。
国の電気・ガス料金支援により、2026年10月分には値引き単価(低圧供給:3.50円/kWh)を含みます
政府の値引きは、燃料費調整額の中に入っていました。だから10月分の▲9.30円には、補助の3.50円がすでに含まれています。
つまり3.97円の内訳は、補助の終了が3.50円、燃料そのものの値上がりは0.47円。燃料の動きは、まだ小さいのです。
ここを知らずに「補助終了で1,400円、燃料費調整で1,588円、合わせて3,000円」と足すと、同じ補助の終了を二度数えることになります。この分は約1,600円です。
もうひとつ、11月1日から基本料金そのものが上がります
じつは値上がりはもう一段あります。託送料金(送電線を使う料金で、電気代に含まれています)が11月1日から見直され、東京電力はそれを電気料金に反映します。
東京電力が公表している規制料金の単価表では、従量電灯Bの基本料金が1割以上上がります。
| 契約アンペア | 現行 | 11月1日から |
|---|---|---|
| 30A | 935円25銭 | 1,176円18銭 |
| 40A | 1,247円00銭 | 1,568円24銭 |
| 50A | 1,558円75銭 | 1,960円30銭 |
電力量料金も1kWhあたり0.05銭ほど上がります。東京電力のモデル(従量電灯B・30A・260kWh)では、月254円の増加と示されています。
電力会社を変えても、この行は付いてきます
ここで「じゃあ新電力に変えよう」と思いたくなります。気持ちはわかるのですが、いったん止まってください。
燃料費調整額は、大手でも新電力でも同じように乗ります。実際、東京電力では昔からのプランも新しいプランも、11月分の単価はまったく同じでした。会社を変えても、上がっている原因そのものは消えません。
本当に効くのは「昔からのプランか、新しいプランか」
では見るところはどこか。会社名ではなく、契約しているプランの種類です。東京電力自身が、こう書いています。
規制料金プラン(従量電灯など)には、加算される燃料費調整額の変動単価に上限がある一方、当社の自由料金プラン(スタンダードプランや電化上手など)においては上限がありませんので、燃料価格が高騰した場合には、当社の自由料金プランの方が燃料費調整額が高くなる可能性があります
かみ砕くと、昔からある「従量電灯B」などには、燃料の値上がりを反映する上限がある。あとからできたプランには、その上限がない。ということです。
| 昔からのプラン (従量電灯Bなど) | 新しいプラン (大手の新プラン・新電力) | |
|---|---|---|
| 上限 | あり | 原則なし |
| 11月分の単価 | 同じ | 同じ |
| 燃料がさらに上がったら | 上限で止まる | 止まらない可能性がある |
いま両者が同じなのは、まだ上限に届いていないからです。差がつくのはこの先。燃料がもう一段上がった局面で、はっきり分かれます。

うちがどっちか、どうやったらわかりますか?

検針票かマイページにプラン名が出ている。「従量電灯」と書いてあれば昔からのほう。戻すこともできるから、いま慌てなくて大丈夫。東京電力なら電話で申し込めるよ。
もし新電力を比べるなら、見るのは2つだけで足ります。
- 燃料費調整額に上限があるか。料金ページか約款に書いてあります
- 市場連動型ではないか。電気の取引価格がそのまま反映されるタイプで、値動きがかなり荒くなります
出典:東京電力エナジーパートナー「ライフスタイル別料金プラン」「燃料費調整単価等一覧」/資源エネルギー庁「燃料費調整制度について」
そのうえで、今日からできること
制度の話ばかりしても寒さはしのげないので、手元でできることも置いておきます。資源エネルギー庁が出している試算です。
| やること | 条件 | 節約額 |
|---|---|---|
| 電気カーペットを一回り小さく | 3畳用→2畳用(1日5時間) | 約2,790円 |
| 暖房の設定を21℃→20℃に | 外気6℃、1日9時間 | 約1,650円 |
| 暖房を1日1時間短く | 設定20℃ | 約1,260円 |
| フィルターを月1〜2回掃除 | 目詰まり状態との比較 | 約990円 |
設定を1℃下げるだけで年1,650円、フィルターを掃除するだけで年990円。拍子抜けするくらい地味ですが、効きます。
契約アンペアの変更は、人を選びます
基本料金はアンペアで決まります。11月1日からの単価だと、従量電灯Bは40Aで1,568円24銭、30Aで1,176円18銭。1段下げれば月392円、年4,704円です。値上げでアンペアの差も広がったので、効果は前より大きくなりました。分電盤のブレーカーの色でもわかります(緑が30A、灰が40A)。
ただし、これは気軽にどうぞと言える話ではありません。東京電力自身がこう注意しています。
ご契約アンペアを下げることで「電気料金の合計額」が必ずしも下がるとは限りません
ほかにも引っかかりがあります。ブレーカーの取り替えで10〜15分の停電が入ること、集合住宅では管理人や所有者の承諾が要る場合があること、そして「冬だけ上げる」といった季節的な変更は受け付けてもらえないこと。年間を通して困らない容量で決める必要があります。
ブレーカーがめったに落ちない家なら検討の価値はあります。逆に冬に落ちた記憶があるなら、やめておいたほうが無難です。
出典:資源エネルギー庁 省エネポータルサイト「無理のない省エネ(空調)」/東京電力エナジーパートナー「ご契約アンペアの選び方」
まとめ
- 11月から月およそ3,000円増。その半分は政府の値引き終了ではなく、燃料費調整額(1kWhあたり3.97円ぶん値引きが縮んだ)
- 電力会社を変えても、この部分は同じように付いてくる
- 効くのはプランの種類。昔からの従量電灯には燃料費調整の上限があり、新しいプランには原則ない。いまは同額だが、この先で差がつく
- 新電力を比べるなら、上限の有無と市場連動型かどうかの2点
- 手元では、暖房1℃で年1,650円、フィルター掃除で年990円。アンペア変更は停電や承諾が絡むので人を選ぶ
まずは検針票を出して、「燃料費調整額」とプラン名の2つだけ見てみてください。それだけで、次に何をするか決められます。
→ 関連記事:電気・ガス代、11月から上がります
※2026年10月時点の情報です。単価や料金プランは電力会社・エリアによって異なります。ご契約先の料金表をご確認ください。


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