9月1日から4日にかけて、家計・金利・原油で相次いで数字が出ました。別々のニュースに見えますが、並べると一つの話につながります。物価は上がり続け、金利もそれに合わせて上がる。その負担を、いま家計が吸収している。
数字は総務省・財務省・資源エネルギー庁の公表資料で確認しています。
食費の支出は増えた。ただし買えた量は減っている
9月4日に総務省が公表した7月の家計調査で、食料への支出は前年同月比で名目2.2%増、実質1.3%減となりました。
名目は実際に支払った金額、実質はそこから物価上昇分を除いた数字で、実質のほうが「買えた量」に近いと考えてください。支払いは増えているのに、手に入る量は減っている。食料品の値上がりが、そのまま家計に出ています。
| 前年同月比 | |
|---|---|
| 名目(支払った金額) | +2.2% |
| 実質(買えた量) | −1.3% |
この結果、消費支出に占める食料の割合、いわゆるエンゲル係数は30.1%まで上がりました。前年同月は29.0%です。生活の余裕を測る古い指標ですが、上がるほど家計の自由度が下がるという意味では、いまも有効に働きます。

支出の総額は減っているのに、食費の割合だけ上がるんですね。

削れるところから先に削るからだよ。食費は最後まで残る。結果として割合が上がるんだ。
家計全体では、1世帯あたりの消費支出が30万1,245円で実質3.6%減。8か月連続の減少で、そのなかでも最大の下げ幅でした。勤労者世帯の可処分所得も実質3.1%減っています。
収入が目減りし、食費が膨らみ、その分ほかを削る。7月の家計は、この構図でした。
長期金利が30年ぶりに3%台に乗った
9月2日、10年国債の利回りが3.006%をつけました。終値で3%を超えたのは1996年以来です。翌3日には2.966%まで戻しており、3%をはさんで神経質な動きが続いています。
長期金利は住宅ローンの固定金利の基準になります。これから借りる人、固定への借り換えを検討している人には、そのまま条件の悪化です。一方で預金や個人向け国債の利回りには追い風になる。同じ金利上昇でも、借りている側と預けている側で意味が逆になります。
焦点は9月18日の日銀の金融政策決定会合です。追加の利上げが決まれば、普通預金の金利も住宅ローンの変動金利も、そこから動き始めます。
あわせて、9月4日発表の8月の米雇用統計が16万2,000人増と市場予想を大きく上回りました。アメリカ側も利下げには動きにくい。日米ともに金利が下がりにくい以上、円安も当面は戻りにくいとみるのが自然です。
出典:財務省「国債金利情報」
→ 円安・利上げ・物価高の関係は?家計と投資への影響をわかりやすく解説
ガソリンが170円で止まっているのは、補助金があるから
中東情勢の緊張を受けて、ブレント原油は9月4日に1バレル95.83ドルまで上昇しました。週間では8%を超える上げ幅です。
にもかかわらず、レギュラーガソリンの全国平均は8月31日時点で1リットル170.0円。前週から0.1円しか動いていません。
| 1リットルあたり | |
|---|---|
| 店頭価格 | 170.0円 |
| 国の補助 | −32.5円 |
| 補助がなければ | 202.5円 |
政府の「燃料油価格定額引下げ措置」によるもので、店頭価格が170円を超えないよう補助単価が毎週調整されています。9月1日には追加分として6,136億円が閣議決定されました。
問題は、この措置に終了日が決まっていないことです。「ガソリン・軽油の暫定税率の扱いについて結論が出るまで」とされており、補助が縮小されれば、その分はそのまま店頭価格に戻ります。原油高が続くほど補助単価も膨らむため、財政負担の面から見ても、いつまでも続けられる仕組みではありません。
灯油も同じ32.5円の対象です。暖房を使い始める前に、この構造は知っておいて損はありません。
出典:資源エネルギー庁「石油製品価格調査」/「燃料油価格定額引下げ措置」
まとめ:3つは、同じ流れの別の場所
原油が高止まりすれば物価が上がり、物価が上がれば日銀は金利を上げ、金利が上がれば住宅ローンの負担が増える。今週の3つは、この一本の流れの別々の場所です。
食費はすでに名目で増えて実質で減っています。循環はこれから始まるのではなく、すでに回っている。しかもガソリンの170円は補助金で押さえた価格です。見えている数字より、圧力は強い。
値上がりが一時的で終わらない可能性を、頭に入れておく局面だと思います。
- 家計は「毎年上がる」前提で組み直す。今年だけ我慢して乗り切る話ではなくなりつつあります
- 変動金利なら返済計画を確認する。9月18日の日銀の会合が最初の分かれ目です
- 現金の比率を見直す。物価が上がり続けるなら、置いたままの現金は毎年目減りします


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